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地蔵

編集にあたって あとがき

鳥屋町教育長

鵜家  良平

 夏休みも後4・5日の頃、近くの地蔵祭りが行なわれ、終了後「せんべい」をもらった事、また子供たちで「隊」をつくり夜の「踊り」勧誘にでかけた事等々、私の少年の日の「思い出」の―コマである。こうした事は「民俗文化」と考えるかどうかわからないが、社会経済の発達により除々に変化していくのは、当然のことでありましょう。

 戦後、約半世紀の間に生活が―変する程の変わり方をなし、その反面、民俗的文化遺産が衰滅あるいは、変容の危機にさらされているといわれでいます。こうした声が町文化財保護審議会委員の話題になり、最も身近な民俗的文化遺産として「地蔵様」について調査し、町の人たちに少しでも関心を持って頂きたいとの念願が実って、発刊の運びとなった次第であります。

 この冊子が町の多くの人たちに活用され、民俗文化への関心が高まることを念じてやみません。

平成4年3月


編集にあたって

 私たちは委員会として、特別に地蔵の研究というほどのものでもないが、町内に点在する地蔵について未踏査でまだ把握していなかったため、平成3年度のしごとの―つとしてとりくみ、まとめてみたものである。

 どの地蔵だってだれかが何かの願いや、祈りを込めてたてたものである。だが、もう代も変わり、言い伝えなどもうすれてわからなくなったものも多く、ただもったいないから私たちがお守りしているだけだというのも少なくない。でも中には、ありがたい話、痛ましい話も聞いたし、このお地蔵さんは私たちの村を守って下さってきたのだという信心深いお年寄りにも出会った。このように話してくれている古老たちもやがては次々にこの世を去っていかれることを思えば、残っているわずかな由来なども消えていってしまうのに違いない。そこで私たちは、町内に分布する地蔵の写真とあわせ、これらの知り得た話を集録したが、語り手が中々みつからなかったり、委員そのものが地蔵についての専門家でもないということもあって落ちの多いこともあろうかと思われるが、この点ご容赦願いたい。

 頭にチョコンと赤い帽子をかむり、よだれ掛けをしているお地蔵さんが格子戸のある小さなお堂の中に坐っている姿はいかにもあどけない。童話にある笠地蔵の話、賓の河原での子供の悲しい石積みなど、地蔵さんの語り話しが多い。身近においでる地蔵さんであるが、だんだん信仰心の薄れか見放されていくように思える。

 おせんべいを供え花を立て、近所の婆ちゃんたちに見守られている地蔵さんは二コニコしている。地蔵は黙してしゃべってはくれないが、この小冊子「地蔵めぐり」が少しでも地蔵への愛着心をおこし、手を合わせて通ってくれる人の増えることを望んでいる。

(文化財保護審議会)


あとがき

・鳥屋町内の地蔵を調べてここに「地蔵めぐり」と題して編集しました。良川〜大槻にかけての山麓の村々に集中して多くありますが、川田、廿九日と伊久留川に沿う山間集落の花見月、瀬戸(十却郷坊跡近くの伊助谷を除く)には見られませんでした。町の地蔵分布の概観のところでも記しましたが、ここに信仰形態のようすをうかがうことができると思います。散歩がてらにでも地蔵めぐりをしてみませんか。

・この調査にあたって各委員がいろいろお話を聞きに上がって教えていただきありがとうございました。ここに厚くお礼申しあげます。まだこんなお話もあったのにとお気付きのことがありましたらお知らせ下さい。

・この冊子編集にあたって公民館の職員の方々にはお手数を煩わしました。写真の撮杉から編集、校正等大変であったと思います。お礼申しあげます。落ち度も多いと思いますが、またお教え下さい。

(編集子)


(文章は平成4年刊行の「とりや地蔵めぐり」より)