一青    鳥畑  茂三

  毎日天気が続いて、田んぼに水が足りなくて困っとったと。ある晩のこと、今夜こそと思うて夜水引きに出たところが、あっちから提灯をつけてくる嫁どりの行列に出合った。こりや今時嫁どりはどんなげろな、親父は夜水引くがを忘れてその提灯をつけた明かりの一行を見ておったと。この行列がやがて明かりのついている建物の中へ入って飲めや歌えの大騒ぎが始まったと。それが面白てどんこならんもんで、障子に穴を開けてのぞいとったと。しまいに夜が白々と明けてきた。そこへ、うちの母ちやんが、父ちやんな夜水引っかけに行ったきりなんも帰ってこんもんで、どんなげらなと思って見に来たげちゃ。そしたら火葬場におって、あっちへ行ったり、こつちへきたりして動いていたと。昔の葬式のときあんどんちゅうもんがあったが、あれに穴開けて一生懸命に中をのぞいていた。そこへ母ちゃんな来て
「お前さん、何しとれん、田んぽに水しかけんと」とどなった。
「これ来て見い、今、三々九度の盃で・・・・」とまだ夢みたいこと言うとった。母ちやんなほっべたなぐりつけた。なぐられた父ちゃんは、狐にだまされとったことに気がついてさんまいから逃げてきたと。