447.馬の糞団子

川田    守山   重信

  むかし府中(七尾)へ行って油揚げやら饅頭を買うて、国府の宮さんへんまで来たら、どうも狐が後についてきているのに気がついたと。その父とぁ「おら若いときから、狐やかわうそにだまされたことぁない。おまえみたいもんにだまされるか」とほらふかして歩いとったと。そやけどもう廿九日やがなと思うて歩いとったが、どんだけ歩いても廿九日の在所へ来んげちゃ。しまいに疲れてしもたし、腹も減ったので買ってきた饅頭を食べたげと、何じやらおかしいと思って自分のほっべたつめってみたげと。そして気がついたら新庄の火葬場の回りをぐるぐるまわっとったと。買ってきた饅頭も油揚げもないがになって、食べとったのが馬の糞やったと。