433.つぶりが下がる

黒氏    平野 晶平

 おっちや小さいときやが、昔、うちの屋敷の隅にサイカチの大木があって暗いところやった。そこにムジナがおって高い木から、タ方になるとつぶりが下がるというた。みんなここを通るときにや恐して走った。だから、おらも子供のとき平内のムジナと圭口われた。

 タ方になっても遊んでいると、早よううちへ帰らんとつぶりが下がると言われた。日暮れに長い間遊ばせんために言うたげろ。