429.焼き団子半分食え

花見月    松尾 一夫

  おらっちゃ若いとき、なぎ野というて、かい場があったわいね。それを焼いてから植林をしたが、火を入れるとき、切った木の枝や杉枝を燃やいたが、杉ちゅうもんな油がないもんで、その上に石を乗せて、重しにしとかな燃えんげちゃ。今のこっちや、重しにしとった石が赤いがに焼けた。「おいおい、いいがに焼けたが、お前食べっかいや」とからかったら「こんなでかいが一人で食われん、お前先に食え」といってからかい合った。