419.天領であった川田村

川田    守山  重信

  昔、川田が天領であった。天領ちゅうことで、うちの在所はほかの在所とはちごうて、ほかの在所のもんが、うちの在所を通るときは気をはったもんや。おらちの子供のときでも、志賀の方から馬にさつまいもをつけて七尾へ売りに出たわいね。そのときに、川田の入っとまで馬に乗ったり、笠をかぶったりしていても、川田の在所へ入っときは馬から下り、笠をぬいで通らねば通さなんだ。
  川田は天領と藩領の入会村だった。天領は守山家ででき、藩領は北野家で、北野章平さんの家は代々儀平で肝煎をしていた。