414.昔の盆踊り

一青    鳥畑  茂三

  今はすたれてしもたれども、一青の麦祭り(七月四日)が先ずその年の盆踊りの始まりで、それからお諏訪様(七月二十七日)と秋祭り(九月十三日)これには必ず踊ったもんや。
  そんなときの音頭とりは声の澄んだもんがやった。そんな人は他所からも来てくれたし、在所からは他所へも行って唄ったもんや。
  忠臣蔵八ツ目、大功記十段目、鈴木主水、小原節など唄ったが、一番おしまいは安来節やった。そして太鼓を打って終わった。音頭とりには黒豆を煎じたのや砂糖水を飲ましてくれて、隅を大事にしてくれた。
  踊りのタ方になると、子供たちが高張りを二本立てて、「踊り見に来てくさんせー」と在所を回り、青年団は音頭とりにきてくれと戸別に回ったもんや。