412.黒氏は木挽と大エの村

黒氏    横山 政一

  この辺の人あ、山仕事によう石動山へ行った。黒氏は木挽と大工が多かった。正月すんでから越中へ行ったが、大エが木挽を連れて出かけ、盆までこなんだ。その時分な製材がないもんで、大エが木挽を連れて行った。木挽は前挽せんならんもんで。
  うちの親父も大工やったもんで、親父の顔ちゅうもんな年に盆と正月しか見んくらいやった。
  越中へは道具箱かついで、列をつくって行ったわい。ほんで黒氏あたりには、氷見との縁組みの多いのもこうしたことからやろな。