398.米一粒でも大事に

川田    守山 愛子

  わたしや嫁にくる時に母親に言われたけけど、おかまの御飯はちゃんと拾うもんやぞ。
  昔々、しんしょのいいうちやったもんでか、米といどっても、少しぐらい流れても気にせんし、かまについとる御飯でも少しぐらいはザーッと流したりしとったげと。それを見とった隣の人が「もったいない、もったいない」と言うて、こぼれた米や御飯粒の流し尻にあるがを拾うて、乾かいて食べたり、ためたりしとったと。しんしょのよかった親方の方は、だんだん貧乏になったし、流し尻の米まで大事にしていたうちが、財産がたまって栄えていったと。物を大切にせにやだめやといわれた。