396.嫁のかんざし

一青    細川 助次

  昔嫁にくる時に、べッコウという石の付いたかんざしをさしてきたと。べッコウちゅ石は亀の背中の甲らから作ったげと。亀はおとなして、頭をちょっとさげては、すっと引っ込める。この嫁は姑に歯応えせん、おとなしいもんになっとれと、いいきかいとるげといね。寺へ来た坊さんの説教から聞いた話や。