386.三十三間堂の棟木の精
良川 千場 つき
京都の三十三間堂の棟木の由来は、柳の木に鷹が巻きついたぎやといね。そしたら巻きついた鷹を鉄砲を撃つ猟師が、鷹を助けたぎい。そしたら、柳の木の精が鉄砲撃ちの所へ嫁に来たぎい。
そしたらこんた、京の三十三間堂の棟木を柳の木が、枯れんで誠にいいもんやとい。それが中々ないもんやといね。それが、三十三間堂の棟木に献納せんならんがになったぎい。
そして、その柳の精と鉄砲撃ちとの間に、柳の助とかいうぼんちが生まれて、九つにも十にもなるぎい。その子を柳の精が育てとったら、いよいよ柳の木を切るようになったら、柳の木の精が入っとったもんで、柳が切られるもんで、いよいよ子供と別れていかにゃならんがになる。そしていよいよ、その木が切り出されたら、その柳の木がいのかんがや。でっかいこと人夫ぁいっぱい来ても、その柳の木ぁいのかんがや。木がそこに泣いとって、その柳のそばで母ぁかやと思わんけれど、柳の助がいつもそこに遊んどったぎや。そしてその柳の助ちゅう子が引っ張ったら、独りでに動いたぎやぞ。それが、三十三間堂の棟木の由来やわい。