374.姑が鬼婆と言われた加賀の千代
黒氏 平野 すず子
殿様が言われたと、「世間の人が、加賀の千代の姑婆さんは、なんと恐ろしい婆さやって、あんな恐ろしい婆ばのおっところへ、よう嫁に来ておる」と千代の耳に入った。
「他人が何を言おうと、私にしたら日本一の姑さんや、あんないい人を、世間の人はようそんな恐ろしい婆やていうがかぁ」と言うたと。そして千代が
仏に勝る 人とも知らずして 他人は 鬼婆というなり
仏の心とも 知らずして 他人は鬼婆というなり
とうたったと。
うちのお姑さんを、そのように言う世間の人の心が鬼なのである。と、そのように言って、顔で言うのではなく、心はまさに仏であると、その人がいたらこそ、仏にたいして感謝ができるのだ。と答えたといね。