372.羽坂の三五郎サ

羽坂    辻井  吉松

  木遣り音頭に唄われておるわいね。
    羽坂の三五郎サ 目が赤い
    代つぎのおばさまも 赤いげな
    それや きたぞ
  この三五郎サは今のセエべサのことやわい。何代前か知らねども、三五郎ちゅうもんな居ったぎとい。その時分に三五郎ちゅう爺じや大変に声がよかったがで、曳山の時にでも三五郎サが木遣りを唄うたりすると重たい山車でも動いたとい。
  他所へ行ってもよう唄ったらしいね。