363.臼池と弘法様(新庄)

新庄    加賀  政之助

  亀井喜美夫さんとこの横にある地蔵さんを弘法地蔵と呼んどるわいね。昔、弘法様がここをお通りになったとき杖をたてられたところ、ここから涌き水が出るようになったといね。お堂の後に小さな井戸があるが、この井戸を臼池というげね。
  新庄のもんな、昔からこの水を汲んでいって風呂をわかいたわいね。この水や鉄分が多いもんで「風呂の湯にすっとやわらかく肌にあたるので、昼の疲れもいっぺんになおるというわいね。
  この弘法地蔵様は六十年ほど前、稲垣昭至さんの先代庄太郎さんと、岡峰琴松さんとは信仰の深い方で、飯川の光善寺(真言宗)の檀家やわいね。その光善寺の住職さんに弘法様の臼池の話をして、寺をとおして、高野山からこの弘法様の仏像をお受けして、ここにお堂を建ててお祀りしたげわね。
  毎年九月一日に光善寺住職に来てもろで、弘法様と辻地蔵様を厚生館へお移しして地蔵お講をしとるわいね。

(類話)

新庄    稲垣  龍子

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