361.神の山のお堂(春木)

春木   小谷内  勝二

  神の山のお堂は、以前は石造りの祠で、あわれながになっとったがやが、その後木造りの堂に修復したが、それも朽ちてしもうて、今度はアルミサッシの堂にして、前面をガラスにして風も入らんがにしたがや。そうしたら、堂のお守りをしておる三郎吉ェ門サの婆ちゃんに、夢のお告げがいく晩もあって、「こんな開けてお参りもできん堂はどうもならん」と、地蔵様がおっしやってのがやと。お堂をまた修理してくれちゅうことやもんで、戸を開くがにして、お参りできるようになおいたげと。
  世の中にや、不思議なことちゅうもんなあるもんじゃ。