347.オオカミ退治

末坂   沢間  政一

  末坂から花見月へ行くのに細い山道がある。この道が末坂と花見月の一番の近道やった。その峰の所が逢坂山やが、ここを越えたところの左側に平らなところがあるわいね。そこに地蔵さんが居ってやけど、おっちゃ親、しょっちゅう言うたわいね。
  昔そこに、末坂の人やけどオオカミに襲われたので、それこそ大変やというので、在所じゅ竹槍を持って行ったと。オオカミや人を食べとるもんで村のもんなきても逃げんとおったと。みんなでオオカミを取り囲んだげ、その家の子供も一緒に竹槍持って行った。オオカミはぽーんと人がこいを飛び越えようとしたときに、その家の子供が囲いの外側におって背が低いもんで、オオカミは子供をわからなんだんか、子供のもっとった竹槍がオオカミの腹に突き刺さってオオカミを退治したと。子供はやっと親の仇討ちをしたと。