341.宿善寺の説教坊さん
大槻 山崎 幸子
伊久留の宿善寺へおっちゃちから嫁に行ったったがやが、白い馬に乗って行ったげ。 婿さんは越中の山方からずっと説教語りに巡っての説教ご坊さんやった。たいてい説教の語り初めは「大槻大蔵の婿行かば、かいもちにナット汁ー」と言ったという。坊さんにはかい餅と納豆汁が最高のごちそうやったげろね。越中の方へ大槻の名が、この坊さんで知られておった。
ある家に、五つのときに母親に死に別れ、その子が十才のときに越中へ子守奉公にでた子がおったがやと、「おまえや能登のどこのもんや」と聞かれたもんで「大槻や」というたら、「そりや大蔵のところやな、行けばカイモチ、ナット汁」て言うが聞いとるが、「可愛い子(娘)やがたいそしとるな」と言ってくれたと。 宿善寺の内仏に「大蔵」という銘の入ったガイモンがあるといね。囲炉裏のはたで縄なっている婆さんが話してくれた。

