340.池崎の寺の蛇詣り

羽坂    打越  きくゐ

  池崎の寺の横に池があるわいね。その池に蛇が居って、池崎の寺にお参りが勤まると、蛇が寺詣りするがに雨が降るぎやといね。
  そうしると、近所の人らっちゃ、池崎の姉様詣ったたじゃちゅうて言うたもんや。
  寺にみんな参っとる中に、なんとも知れんきれいな姉様のぎやといね。頭を結うて、きれいな着物を着て参るげといね。そばに参っとる人らっちゃ、横目こチラッ、チラッと見ると、喉のところにウ口コが三枚あるのがわかるとい。
  お参りしとって、どんだけかの時間かお礼とげとると、いつの間にやらおらんがになってもうげと そうしると、今まで降っとった雨がサーッどやんで晴れるぎと。

(類話)

干場  つき

「類話」

大蛇の池渡り

廿九日   守山  なつい

  原山の大池から池崎の寺の横の池へ、大むかし大蛇が嫁に来たぎといね。そやもんで池崎の祭りに、昼からになりゃ必ず雨ぁ降るぎといね。大蛇が祭りになるとでてくるもんやといね。
  そいから、池崎の寺にお参りが勤まると、顔もなんも知らん美しい姉様が一人、一番後に参るぎといね。そして必ず雨ぁ降るぎといね。