337.カンザンサの涅槃団子

花見月    八尾  幸子

  おっちゃ隣のカンザンサにお釈迦さんの像があるがで、何代か前の話やが、そこへあきんどがきてそのお釈迦さんをわけてくれというもんで、その仏像を売ったげと。これを買うたあきんどが、かかえて向かいの大門の川の橋を渡ろうとしたけれど、どうしても渡れないので、またカンザンサへ返したと。
  カンザンサはもともと東嶺寺の檀家やったもんで、浬磐団子を作ってお供えして、それからみんなの家へくばつとった。三月十五日が涅槃様の日や、この団子を焼いて食べるとマムシに食われんというた。