331.うどん講

春木    奥本  利作

  うどん講の本尊は観音様やちゅうことやが、ご本体は焼けこげておってやが、春木の白山神社に祀られてあったがで、神仏分離のときから林照寺にあずかってもろとるげわ。
  うどん講の始まったのが、明治四十四年やったと思うとるがで、奥の坊の人らちのお講やわ。そんときに、林照寺から当番の家へ観音様を持ってきてお参りするがで、昼にうどんをよばれるげわ。
  四百年あまりも前か、上杉軍勢が七尾城を攻めたとき、この辺の寺がみんな焼け放されたが、そんとき黒焦げに焼けたもんやと聞いとるわ。毎年二月にこのお講しとる。