321.手間神社の建築

羽坂    清水  ふさ

  羽坂の手間神社は、昔はいまの反対側を向いとったがで、今みたいにでかい社じゃなかったらしいね。祠みたいな物やったらしいね。このお宮さんが建ったときには、在所中が今日も明日もちゅうて五箇山(久乃木)へ木材引っ張りに行くぎやね。山へ木だしに行くぎゃ。そんな時分な五十軒あるか六十軒あるか今みたいに家数がないときやし、そんながに出ても今みたいに店になんか売っとるちゅうこたぁーなし、お握りの弁当に漬物を下げては、ヨイショ、ヨイショちてズタ引きに引っ張ってきたもんやといね。
  そしてそん時にゃ、羽坂の親父様らちの家の漬物桶ぁ、空っぽになったもんやといね。そんだけ漬物ばっかり食べて、そしてこの宮を建てたぎやといね。
  そん時の棟梁が有名な田鶴浜の柴田真次ちゅう人やったぎいといね。