264.下駄屋と傘屋の夫婦

川田    守山  裕美子

  むかし昔、毎日毎日泣いとるお爺さんとお婆さんとおったと。なんで毎日泣いとるかちゅうと、そのお爺さんの仕事が下駄屋やったぎいて、そしてお婆さんの商売は傘屋やったきいて、その下駄屋のお節さんは雨が降ると、泣くぎいて、沢山雨が降ると下駄が売れんとって米櫃が干せあがるちゅうてね。
  天気になるとお婆さんな泣くぎいて、こんだけ天気になると傘が一本も売れんちゅうて、傘が一本も売れんとわしゃー生活していかれん、食べて行かれんちゅうぎいて。
  ところがある人がお前さん達はそんな泣いてばっかり届らんと、こんなふうに考えたらどうや、て教えてくれたきい。それは天気になったら、下駄屋の爺さんは天気やさかい下駄売れる。こんでオマンマが食べられるぞ、て喜べって、それから雨が降ったら、傘屋の婆さんは今日は雨が降ったから傘が売れる、傘が売れるちゅうて喜べばいいて。そうすればいつも笑うて居られる。
  そういうて二人件よく暮らしたぎいと。