243.おおだけゆい

瀬戸    池島  つや

  おっちゃうちにあんなもんのでかいがある。こんなもんもでかいがある、ちゅうてほら吹いとったぎ。
  そこへ桐の木買いが来たら、山じゅう連れて歩いて
「どこに六尺もある桐の木やあるがいや」ちゅうたら、
「あら、しかたないやちやな、こりやそやわい」と言うた。自分の背丈程のもんを、六尺もある桐の木ちゅたもんで、桐の木買いや喜んどったら、丈が六尺やったと。
  また、その次に、おっちゃちに、風呂桶にするような、もうそう竹があるちゅうて自慢しとったとい。そしたら、そりや、風呂桶の輪に使う竹やったと。
  こんな人間を「おおだけゆい」ちゅうわいね。

(通観264「三八は木の高さ」)

(付記)

言葉のごまかしー三尺は木の高さ

  サン二ョモンが山の材木を売りつけ、三尺は、らくにあると言うので、ある男が大金を出して買う。検分すると、三尺というのは木の高さで、苗木ばかりだった。わざとあいまいにしてだます語り。