240.母かの尻に目薬
良川 千場 つき
目の痛い父とがおったぎと、そして医者へ行ったけど、なかなか、なおらんし、困っておった。こんどはほかの医者にみてもらったら、これが効くやろうと言って目薬をもらってきた。
その家の母かの名前がオンメちゅう名やったといね。やっとちょっこしだけ字読める父とは、目薬に書いてあるがを読んでみると「オンメジリにさす」と書いてある。おら、目あわるいがに、母かの尻に目薬さしゃなおるがかなあ、と思うて
「母か、あっち向けま」ちゅうて、母かに尻を出さしたら、母か
「なんしるがいね」ちゅうもんで
「われの尻に目薬さしや、おらの目やなおっといや」ていうもんで、母かも正直なもんで、げす出いとったら、気ばっとったもんでか、目薬を尻へさすときに、ぶーっとでっかいがに屁こいたげといね。
そしたら、目薬や父との目にかかったもんで、目や治ったと。
父とあ感心して、母かの名前がオンメでなかったら、大そうどうやった。オンメでよかったちゅうたとい。