232.ドンなボン

黒氏    平野  すず子

  むかし、だらなボンがおったといや。そのうちの母かあ、わがうちのボンなだらやと思わんもんで、よそのうちのボンな、あんでボンかいや、おっちゃボンほど美しいボンなおらんちゅうてみとったと。このボンにドンス(椴子)の着物を着せたら、どんだけこさ似合うやちと思うて、たんもん屋へ行ったと。
  ドンな男にドンスの羽織り着せて眺めりや、なおドンや、ちゅうことになったと。