230.だらな兄さの灰集め

大槻    豊蔵   茂

  むかし、嫁さんのふる屋へ婿さんがようきてどんならなんだと、粗末にもできんし、よう弱っとったげと。そこで婿さんに
「こんた来るときにや、杉葉の灰をカマスにいっぱいたのんこっちや持ってきてくれ」と嫁さんのふる屋の親が言うたと。
そこで婿さんが、うちへ帰ってから、毎日やたらに杉葉を燃やいた。そやけど、どんだけ燃やいても灰がたまらないので、こりやあんまりこんとけというげじゃとやっとわかって、それから行かんようになったと。