220.瓶の尻を持つ
瀬戸 池島 つや
あまでかめに甘酒をつくっとった。ある日、父とがあまへ上ってがめを下すがに、中取りにカメちゅう名の兄貫がおるし、 一番下に母かがおったぎ、そして兄んさに、
「瓶の尻をしっかり持たにゃ、しっかり持っとろぞ」ちゅうたら、自分の尻をしつかり持っとったて、持ったてゆうもんで、父とあ、瓶を放いたら、ガチャンちゅうて、下の母かの頭に落ちて、母かは怪我すっじ、瓶やわれるし、大変なことやったっと。
(大成334「瓶の尻」 ・通観318「瓶の尻」)
(類語)
羽坂 辻井 吉松
(付記)
瓶の尻
ことばをとり違える愚か者の話。
二階から甘酒瓶を降ろすのに手伝わせる。降ろすとき尻を持てという。だらな息子は瓶の尻を持たないで、自分の尻をいっしょうけんめい持っていた。瓶は割れてしまった。
「法事の使い」や「ぶつの話」と同類語。