215.なっと納豆売り

良川    千場  つき

  江戸見物に行った時のことやけど納豆屋さんなあ
「納豆、納豆、納豆」で、納豆を売って歩いたと。そうしたら橋のところで、滑ってかやり、持っていた納豆をみな散らばしてしもうたげえ。
  それを見ていた人あ、
「納豆屋さん、なっともないかいね。」て尋ねたら、納豆屋さんな、
「なっともないけど、なっとうもない」で、言うたと。怪我もないけど、納豆もなくなったて言うたがかね。
  ハッハッハー
(通観509「言葉遊び・なっともない」)

(付記)

言葉遊びなっともない

納豆売りが、納豆の売り切れたことを忘れて、
「納豆、納豆」と言いながら歩く。客が納豆を買いにきたのでつまずいたふりをすると、客が
「けがもせなんだか」と聞いたので、
「けがもせなんだし、なっともない」と答えた。