213.かれいたらたこ
良川 千場 つき
生木をしばって、たき木にしたがを売りに出た。
「かれたらたこう」ちゅうて売って歩いた。けれども何んも売れなんだとい。
さかなのかれい・たら・たこと間違えられたきや。
(大成331「茶栗柿」・通観275「売声失敗・茶栗柿」)
(付記)
茶栗柿
愚か者が物売りに出かけて呼び声でしくじる笑話。
愚か息子が親に言われて茶と栗と柿を売りに行く。
「ちゃっくりかき」とつづけて呼び歩いたので、何のことかわからず一つも売れない。親にべつべつに言って売るものだと教えられ、こんどは
「茶は茶でべつべつ、栗は栗でべつべつ、柿は柿でべつべつ」と呼び歩き、これまた何のことかわからず、買う人がなかったという話。
呼び声の拍子のおもしろさを楽しむ話で、主人公は愚か息子である。親はなげいて馬鹿につける薬はないと言うと、飲む薬でもいい、と落ちがつくものもある。