205.芋転がし

良川    千場  つき

  昔、だらな兄さまが、嫁の親のところへよばれに行ったと、ところで嫁さ、兄んさまに恥かかしたないもんで、もし食べ方がわからなんだら、上座の人のまねすればよいと言うてあったもんだから、一生懸命上座のもんのするのを見ておったと。そしたら上座の人が芋の子を箸でつまもうとしたらコロコロッと転がったと。そしたら自分もそのとおり転がさんならんと思うて箸につまんで転がいたと。
  これでおしまい、けんけんぼっとくそ。
(大成314「芋転がし」・通観327「ものまね失敗」)

(付記)

芋転がし

作法知らず、もの真似失敗の話。村人が祝いの席に招かれる。作法がわからないので名主(和尚)の真似をすることにする。名主が誤って芋を転がすと、同席の者はみんな、真ねて芋を転がすという話。愚か村話、愚か婿話として話される。