202. 日本はこの倍ある

良川    千場  つき

  にぎり飯しの弁当をかついで、お父とにつれられて七尾のデカ山見に行ったげちゃ。五月やちゅうがに、ごっついどんこ着て歩いていったとお。
  昼間の弁当食べるがに海辺へ行ったき、そしてはじめて海やら能登島を見たぎと。「お父と、あれも日本ね」ちゅうて、能登島を指して言うたら、父とあ、満足そうな顔して「おいや、あたりまえやわい。日本なあの倍もあるぞお」と真面目な顔して言うたといね。
(大成307「ここも日本」)

(付記)

ここも日本

  「日本はこれの二倍」もある。世間知らずのいなか者の話である。親子の二人連れが生まれて初めて旅に出た。広い平野の見えるところへ来たとき、子どもがその広いのにびっくりして、「とうちゃん、ここが日本というところかい」とたずねたら、父親が、「日本はこの二倍はあるぞ」と言うたと。
  世間並みの知識のない者をあざ笑った話であるが、その裏には世間知らずでは困るということ言っている。