136.交尾は何回

良川    千場  つき

  釈迦の涅槃に動物たちが集まったぎと。馬が
「おらっちや食べ物より女郎馬を欲しい、いつしりゃよかろや」ちゅうたぎと、そしたらお釈迦さまが、
「おまえやそんなこというとるがなら、春と秋の二回しかさせられん」ちゅたぎと、そこへ犬と猫がやってきてたずねたら、そうやな土用ごとの四回やなと、そしてがやがやしとっとろへ人間と鳥がやってきた。お釈迦様がうるさがってよわっとったもんで
「いつでもしたいもんな昼でも夜でも、何時でもしとれ」
  そやさかいに、馬に出合うたら「有難うござんしたちゅうて通らにやならんぎゃぞね」と。
(通観192「交尾は何回」)

(付記)

交尾は何回

  動物たちが釈迦に交尾の回数を尋ねる。犬猫には「土用ごとに年四回」と言うが、馬には「春と秋二回」と言ったので、馬は不公平だと怒って、後足で釈迦に砂をかけ、目に砂が入いる。そこへ人間が来て尋ねたので、釈迦はうるさがって、「いつでもせえ」と言い、人間はいつでもするようになった。
(通観192)