133.唄が本当になつた

末坂    三野  喜美子

  貧乏な家に、心の美しい、よい爺と婆がおったと。
  犬でも猫にでも、分けあって食べる、そんな人やちやったげと。
その婆が、ある日のこと、
    一台ひきや 二合になる
    二合ひきや 一升になる
    一升ひきや 一斗になる
  ちゅうて、歌を唄うて物ひきしとったら、本当にだんだん増えていったと。
  一方の悪い婆が物ひきしたら、一斗ひきや一升になる、一升ひきや二合になる、二合ひきや一合になるで、だんだん減っていってしもたといね。
  よい婆さんな、犬や猫でも、自分らが食べられんがになるまで、食べさしたりする、そんな心のやさしい人らちやったといね。
  そやもんで、神様がちゃんと、よい人にはよいがに結果をだいて下さるがやと。
  これでけんけんぼっとくそ。