128.浦島太郎

川田    守山  裕美子

  昔しい、浦島太郎という、魚釣りをする漁師がおったといね。いつものように魚釣りに行こうと思って海辺へ釣竿をかついでやってくると、子供達が沢山遊んでいて何かさわいでいるので、浦島太郎が何をしているのだろうと思って覗いて見ると、大きな亀がいて子供達が棒で突っついていじめとったぎいと、そしたら浦島さんはびっくりして
「これこれ亀をいじめてはいけないよ」っていうと
「わあい、わあい、おいらが捕えた亀だ」って言うぎい。そこで浦島さんは
「そうか、じゃあおじさんがお金を出して買おう」って言って浦島さんは買い取ったぎい。
  そして海へ放してやったと。そうすると亀は大変喜んで
「浦島さん有難う有難う」と何度も言って海の遠くへ泳いで行ったぎいと。ある日のこと浦島さんが船に乗って釣りをしていると、
「もしもし浦島さん浦島さん」ていう声がするもんで、びっくりして見ると、
「この間助けていただいた亀です」。
「今日はお礼に竜宮城へ御案内します」ていうて、
「浦島さん目かくしをして下さい」ていうもんで目かくしをすると
「じやあ私の背中に乗って下さい」で、そして浦島さんを背中に乗せて竜宮城へ連れて行ったぎい。
  そして着いたので
「じゃあ目かくしを取って下さい」ていうもんで目かくしを取って見ると、そこに立派な御殿が現らわれたぎい、びっくりして目をパチパチしていると、
「ここは竜宮城です」
「乙姫様ですよ」ていうぎい。
  そしたらきれいな女の人が
「亀を助けていただいて有難う」ていうて
「今日はお礼にいろいろ御馳走をしたり、おもしろい魚の踊りを見せますよ」て言ってくれてね、浦島さんに今までに食べた事もないような御馳走をしてくれて鯛やひらめの踊りをいっぱい見て毎日毎日楽しく暮しとったぎいと。
  むかし昔 浦島は 助けた亀に つれられて
  竜宮城へ 来てみれば 絵にもかけない うつくしさ
  乙姫様の 御馳走に 鯛やひらめの 舞い踊り
  ただめずらしく おもしろく 月日のたつのも 夢のうち
  あそびにあきて 気がついて 帰ってみれば おどろいた
  元いた家も 村もなく 皆んな知らない 人ばかり
  さびしくなって 玉手箱 あければパッと 白煙り
  みるみる白髪の おじいさん
  浦島さんは毎日毎日楽しかったので何日たったか忘れてしまったぎい。その時ふっと、お父さんやお母さんの事を思い出して、ああどうして居るかな、家へ戻らなくちゃと思って、乙姫様に
「ずい分長い間お世話になりました、もう家へ帰ります」て言ったぎいね。
  そしたら乙姫様は
「お土産げに玉手箱を上げましょう」
「けれどもこの玉手箱はこまった時しか開けてはいけませんよ」て言ったのですね。
  そして浦島さんは玉手箱を持って亀の背中に乗って元の住んで居った浜辺へ帰ってきた。そして亀の背中から降りて目かくしを取ると、全々様子が変っとったぎいね。そして自分の住んどった家はどこかなと思って探しても自分の家はないし、道に出会った人に
「もしもしあなたは誰れですか」て聞いても知らん人だし、
「むかし浦島太郎さんが居た事を知りませんか」て聞いても誰れも知らんし、そしたら浦島さんはこまってしまって途方にくれて、
「そうだ乙姫様はこまった時にこの玉手箱を開けてごらん」て言ったから開けて見ようと思って、浜辺でその玉手箱の蓋を取ると中から白い煙が出て来て浦島さんはお爺さんになってしまったと。
  こんでおしまい。
(大成224「浦島太郎」・通観108「浦島太郎」)

(類話)

末坂    三野  喜美子    羽坂    長屋  よつ

(付記)

浦島太郎

  動物の(亀)の報恩によって、異郷(竜宮城)を訪問したという昔話。
  この物語の舞台は、丹後半島の水江浦(住吉浦)と伝えられ、社の周辺には浦島伝説が多い。
  亀を助け、その恩返しで竜宮に行く。竜宮の美女の歓待を受けるが、後に故郷を恋しく思い、帰郷を決意する。決して開けてはならぬという玉手箱をもらう。陸にあがってみると地勢は変化し、知る人もなく、聞くと永い時の経過があったことを知らされる。失意の太郎は玉手箱を開け、箱の中から出た煙で老爺と化してしまうという構成である。