124.米埋め、糠埋め

廿九日    守山  なつい

  昔、あるところに四人の親子がおった。父とのほうは、年中出かせぎに出ていて、ほとんど家へもどってこなんだと。
  母親と二人の子供で留守をまもっておった。ところが、上の子は先妻の子やったもんで、母親が何かにつけて、わが子にまいもんを食べさせるなど、かわいがって、先妻の子をじやまでしようがなかったげと。
  ある冬の寒い日の晩に、貧乏でろくに着るもんもないもんで、仕方がなあて、継母が、先腹の子を糠俵の中に寝かせ、自分の子を米俵の中に寝かした。糠は捨てるもんやし、米は大事な命をつなぐもんやさかい、上の子は死んでもかまわんが、白分の子は暖かい米の中で眠れっし、腹がへりゃ、その米を食べりゃいいと思って、米俵の中へ入れたげといね。
  ところが朝になると、上の先腹の子は元気に起きてきたが、自分の子は米の中で、冷とうなって死んでしもとったといの。
(大成205B「米埋糠埋」・通観76「米埋めもみ埋め」)

(類話)

羽板    辻井  吉松    瀬戸    笹谷  よしい

(付記)

米埋め糠埋め

  継子話の一つ。継母が実の子はかわいいあまりに米の中に、継子は粗糠の中に入れて寝かした。米は冷たいので実子は凍え死に、粗糠は米より暖かいために継子は助かったという話。実の子を良い条件におこうとして、かえって失敗する。