103.原山の大池の蛇 (蛇婿入り・援助型)

良川    千場  つき

  原山の大池に大蛇がおったぎちや、そしたら原山のみつサが、お父とがわるい(患い)もんで、二宮へ薬をもらいに行くぎや、この池のそばを通ると、まんできれいな男がみつサを呼ぶげいと。しまいに、みつサもその人に会うがを楽しみにして、毎日ここを通ったと。
  あるとき、そのきれいな男が、頼むこっちや一緒に死んでくれてみつサにいうたぎ、みつサも「おら、この男を好きになったげ」と言うたとい。この男は、池の主で男に化けとったげ。
  ほしたら、みつサ恋にこがれて、一緒に死んだとい。あとで死体を上げたら、みつサはみつサの姿のままやったけど、男は大蛇になって、みつサに巻きついて死んどったと。そんであの犬池にや、大蛇の鬼と、みつサの鬼が残つとって、どんな旱ばつでもカラこならんぎと。

(類話)

一青    土木  スイ    春木    奥本  利作・小谷内  勝二

(参考)

(鹿島郡誌より)

  芹川原山の河上某という旧家の主人が池のほとりに立っていると、若者が現われて、「池の主だ。娘をくれれば家の繁栄を守る」と言う。主人が承知すると、娘は用意をととのえて池に飛び込んだ。
  その後その家は栄えるが、池の水がどんどんふえるので、ほほ五十年目ごとに堤を改修しなければならないと。