101.蛇婿入り (立ち聞き型)

一青   兵部  キクイ・岡島  すさの

  むかしむかし、婆ばと娘がおったと。ところが春ごろから、毎晩娘のところへ男が遊びに来たと。なかなか美しい、いい男で、娘もいつのまにか好きになってしもたげと。婆ばは心配して
「あの人、どこの人や聞いてみさしゃい」と娘にいうたもんで、娘も心配やったもんで聞いてみたが、どんだけ聞いても、笑うとって、どこのもんや言うてくれんがやと。
  そのうち娘も妊娠したが、男の素性がわからない。

春木    小谷内  勝二    良川    山本  いと・干場  つき    瀬戸    池島  つや      大槻    山崎  幸子・正田  光子

(付記)

しょうぶ湯

  未知の男が娘のもとに毎夜通ってくる。あやしく思った母親が、娘に男の着物に針に糸を通してささせておく。翌朝その糸をたどって行く。糸は淵の中に入っている。傷ついた蛇があらわれて、おれは娘に種を宿したからよい、親蛇は人間は利口だから子をおろすだろうと語っている。蛇の親子の話を立ち聞きして、子種をおろす方法を知る。その方法は、五月五日に菖蒲湯に入ると蛇の子がおりる。
  しょうぶの節供の由来である。蛇婿入・立ち聞き型である。