24.鼠の日本一の婿さがし

瀬戸    笹谷  よしい・野崎  梅子

  鼠あ、日本一の偉い人のところへ、嫁にやろうと思うて、日本中に一番強いもんな誰やちゅうがになって、お日様のところへ嫁にやろうと思うて、お日様のところへ行ったら、お日様が
「おれよりまだえらいもんがおってや」と、そやもんで
「誰や」ちゅうたら、
「風や」ちゅうたとい。
  そして、風のところへ行って
「おっちゃ娘をもろてくれ」ちゅうたら、風が言うには
「おれよりまだ偉いもんがおる」ちゅうたと。それは
「誰や」と聞いたら
「かべや、かべには歯がたたん」ちゅうもんで、かべのところへ行って
「娘をもろうてくれ」ちゅうたぎと。そしたら
「おれよりまだ偉いもんなおる」ちゅうもんで
「それは誰や」と聞いたら
「鼠やしちゅうたと。かべぁ
「おら、どんな偉い顔しとっても、鼠にかじられるもんで、かなわん」と。
  自分より、高望みしてもだめや、ちゅうこっちゃ。

(通観586「鼠の嫁取り」)

(付記)

鼠の嫁取り

  鼠が世界一の嫁をもらいたいと思うが、太陽のところへ行くと太陽は
「太陽よりもぐらが偉い」。もぐらのところへ行くと、もぐらは
「もぐらより鼠が偉い」と言うので、結局鼠の嫁が一番偉いということになったという。