21.みみずの食べもの

羽坂    辻井  吉松

  お釈迦様が臨終のときに、枕元へ動物たちが集まって、それぞれ食べものを言いわたされたげちゃ。そんとき、みみずぁ
「おりやぁ何を食べりゃよかろか」ちゅうて聞いたら
「土でも食べとれ」と言われたとい。そしたらみみずは
「土食べてしもたら、何を食べようか」と聞いたとい。お釈迦さんはみみずの欲の深いのに驚いて、
「土がなくなったら、前へ出て昼寝せい」ちゅうたとい。
  そしたらみみずぁ、外へ出てひなたぼっこをしておったら干せかすになって死んでしもたと。
  欲するにもきりやない。だらなこと言わんもんじゃ。
(大成75「蚯蚓と土」,通観556「みみずと土」)

(類話)

黒氏 平野 すず子 瀬戸  池島 つや 春木  小谷内 勝二  廿九日  守山 なつい 良川  千場 つき

(付記)

みみずと土

  ミミズの生態についての由来談。動物の食べ物を神様がミミズは土を食うように言われた。土を食ってしまったら何を食うのかとミミズがたずねたので、神様はその欲深いのに腹を立てそのときには日に照らされて焼け死ぬがよいと言われた。それでミミズは夏の日に照らされると死ぬのだという話。
  動物の食べ物をお釈迦様が決めたと語るのもある。
  欲張りを戒める話としてとらえたい。