17.雀のそそう
瀬戸 池島 つや
お釈迦さんがあるとき、おまえらちにこれから食べ物を与えるちゅうたったといね。そして、はようきた者に好きなもんやるちゅうたったもんで、ぽっと雀や、あわてて親の枕もけはないてそこへ喰いぶちもらいに飛んで行ったと。そしたら一番に行ったもんで、お初をもろうがになったげと。そんで田んほでも畑でも、お初を食べるぎ。そやれども、足が片一方短いぎといね。こりやあ、親の枕をけはないた罪なぎゃと。
(大成47B 「雀粗忽」)
(付記)
雀の粗忽
小鳥前生談。昔、雀とつばめは兄弟であった。ある日、親が病気だと聞いて雀は急いで飛んでいったが、あまりあわてすぎて親の頭を蹴ってしまった。つばめは美しく化粧してから行ったが、そのときはもう親が死んでいた。
親は、雀には頭を蹴った罰で地面を歩くことを許さず、二本の足を揃えてピョンピョン飛び歩くことしか許さないが、食べ物は穀物を与える。つばめには、親の死に目に会わなかった罰に穀物を与えず土を与えると遺言した。それでつばめは土で巣を作り、虫を食う。雀は藁で巣を作り、米を食うのだという。
この昔話は「雀孝行」と共通している部分が多い。「雀孝行」では鳥の習性と姿のいわれを語っているのに対し、「雀の粗忽」では動作の様子をみている。